「スマホの罠」に落ちた藤田菜七子騎手 - 自覚の欠如がもたらした悲しい結末
27歳の藤田菜七子騎手が引退を表明したニュースは、多くの人々に衝撃を与えた。
その背景にあったのは、ルールで禁止されているスマホの使用だった。
同じ問題で複数の騎手が処分されたことは記憶に新しい。
スマホの使用は、子供でも理解できる簡単なルールだ。
しかし、現代人の多くがこのルールを守れていないのが現状だ。
映画館やイベント会場で、「スマホ使用禁止」の呼びかけが繰り返されているのは、ルール違反者が後を絶たないことを示している。
公共の場でマナー違反をする人々は老若男女を問わない。
スマホやSNSには明らかな中毒性がある。
その危険性を警告したのが、ベストセラーとなった『スマホ脳』だ。
一人の有望な騎手の将来を奪ったのは、本人の自覚の欠如なのか、それともスマホの持つ魔力なのか。
興味深いのは、IT企業のトップたちが自身の子供にはスマホを与えていないことだ。
アップルのスティーブ・ジョブズは、iPadすら自宅に置いていないと明かしている。
マイクロソフトのビル・ゲイツも、子どもが14歳になるまでスマホを与えていない。
なぜなら、彼らはスマホがいかに人を虜にするかを熟知しているからだ。
問題の根源は、スマホがわれわれの脳の「報酬システム」に働きかけることにある。
新しい知識や情報に触れるたびに、脳はドーパミンを放出し、快感を生み出す。
この仕組みを熟知し、利用しているのがスマホメーカーやSNS運営会社なのだ。
その結果、私たち現代人はスマホの虜となっている。
1日平均2600回もスマホに触り、SNSに5年もの時間を費やすという調査結果がある。
この過剰な使用は、うつ、睡眠障害、記憶力低下など、深刻な影響をもたらしている。
脳科学者らは、強制的にスクリーンタイムを制限し、運動をするなどの解決策を提案している。
特に子どもの脳への影響は深刻で、欲望に溺れるままにスマホに没頭すれば、大人になってからの「我慢する力」が育たない恐れがある。
藤田騎手は、物心ついた時からスマホが当たり前の世代だ。
ルール違反へのペナルティーだけでなく、スマホ脳にならない予防策や中毒からの脱出法をもっと真剣に検討する必要があるだろう。
一人の有望な騎手の未来が、自覚の欠如によって奪われたことは、私たち全員の反省点なのかもしれない。