36年の時を経て、ティム・バートン監督が手掛けた『ビートルジュース』の続編が公開された。
オープニング作品としてベネチア国際映画祭に選ばれたこの作品は、前作を遥かに上回るノックアウト的な結末と素晴らしい特殊効果を備えた、楽しくも奇抜な喜劇となっている。
マイケル・キートン演じるベテルギウスが死から蘇った。
あの1980年代の超常現象コメディが、ついに続編を得たのだ。
ただし、ハリウッドにおいて知的財産が永遠に安息することは許されない。
そのため、バートン監督が『ビートルジュース ビートルジュース』を手掛けることとなった。
作品の出来栄えについては、事前の懸念を払拭する内容となっている。
1980年代の続編作品では期待外れが多かったが、本作は『トップガン マーヴェリック』のように、長い時を経てなおかつ前作を上回る出来栄えを実現している。
キートンの演技は前作と変わらぬ迫力を放ち、ウィノナ・ライダー演じるリディアやジェナ・オルテガ演じるアストリッドなど、新たな登場人物たちも魅力的だ。
脚本にも秀逸な点が多い。
衝撃的なオチや、バートン監督ならではの視覚的なギャグが随所に散りばめられており、大作コメディとしては珍しく面白い作品に仕上がっている。
CGIに頼るのではなく、人形や特殊メイクなどの実写効果を巧みに活用しているのも特徴的だ。
ただし、ストーリーラインが複雑すぎるため中盤が長引き、結末が慌ただしく感じられるのが唯一の弱点だ。
ベテルギウスにもっと時間を割くべきだったかもしれない。
全体としては、『ビートルジュース』の続編が、知的で愛情のこもったオマージュを残しつつ、ほぼすべての点で前作を上回る出来栄えになったことは喜ばしい。
ティム・バートン監督ならではの奇抜で不気味な世界観を堪能できる、楽しい作品となっている。